最近よく耳にする用語で、知っているようでその実よく知らない、ということはありませんか?
 先日解説した「SDGs」なんかもその一つですが、ニュースやCMなどで目にするうちに、なんとなくこんな意味かな?と自己流で解釈してしまうこと多いですよね。そんな、日頃あいまいに理解していて、今さら聞けない!という用語を、これから折に触れて簡単にわかりやすく解説していこうかなと思っています。
 

 今回取り上げるのは、「クラウドファンディング(crowd funding)」です。
 みなさんもよく耳にする用語だと思いますし、だいたいの意味はお分かりだと思います。
 
 ところでこの「クラウド」とは、iCloudなどで用いられる「クラウド(cloud=雲)」のようなサーバーストレージの一種とは違います。「クラウドファンディング」や「クラウドソーシング」などの「クラウド」は、「 crowd = 群衆、大衆」という意味ですので、混同しないよう気を付けないといけませんね。
 
 『クラウドファンディング(crowd funding)』とは
 
 前述しましたが、「クラウド」とは群衆、そして「ファンディング」とは資金調達、という意味です。「クラウドファンディング」とはその2つを組み合わせた造語で、ネット上で不特定多数の人に対して資金調達を行う方法のことをいいます。
 従来、経営者にとっての資金調達といえば、自己資金を活用する他、安定的な実績を作ってから融資をお願いするなど、なかなか困難な面がありました。クラウドファンディングを利用すれば、プロジェクトに賛同した人たちから従来の方法よりも手早く資金を調達できるため、スタートアップがスムーズに行えるという利点があります。(もちろんそう簡単にいかない場合も多々ありますが)
 
 クラウドファンディングには様々なタイプがありますが、主に「非投資型」と「投資型」に分けられます。「非投資型」には「寄付型」と「購入型」がの2つのタイプあり、「投資型」には「融資型(貸付型)」「ファンド型」「株式型」の3つのタイプがあります。日本では一般的にクラウドファンディングのイメージとして抱いているのは「非投資型」、つまり「寄付型」や「購入型」がほとんどだと思います。それは東日本大震災を契機に注目を集めるようになったことが大きいようです。
 
 『非投資型クラウドファンディング』の2タイプ
 
 「寄付型」は東日本大震災を機に注目を集めるようになりました。趣旨に賛同した人々が純粋に寄付をするかたちで、金銭的なリターンはありません。どちらかというと社会貢献タイプ、子供の難病支援や被災地支援といったものが多いようです。
 
 「購入型」はプロジェクトの起案者が目標額と期限を決めて募集し、支援者に対してオリジナルの物品やサービスが提供されます。
 「購入型」にはさらに「All or Nothing型」と「All In型」の2種類があり、「All or Nothing型」は目標金額が達成した場合のみ成立し、「All In型」は目標金額に達しなくても成立が認められます。
 
 『投資型クラウドファンディング』の3タイプ
 
 「融資型(貸付型)」は現在、クラウドファンディングの約90%を占めているそうです。資金運用の面もあるため「ソーシャルレンディング(*)」とも呼ばれており、複数の個人から資金を集め、借り手企業に融資する仕組みになっています。募集した時点で利率が決まっているため、毎月金利が支払われます。金銭的リターンをおおいに期待できるメリットもありますが、借り手が返済できない等のリスクも想定されますので、信用度を見極めながら慎重に利用したいものですね。
 (*)Web上で金銭の借り手・貸し手を結びつけ、個人間での融資を実現する仲介サービスのこと
 出典:Weblio辞典
 
 「ファンド型」はプロジェクト起案者がビジネスに対しての出資を募り、支援者は出資額や売上に応じた分配金を受け取る仕組みになっています。売り上げに応じて分配金が変動するために、支援者の受け取り額はビジネスの成否で変動します。
 
 「株式型」では、支援者がインターネット上で資金提供先の未公開株式を受け取ることができます。
 IPO(新規公開株)やM&A(企業の合併・買収)を視野に入れている企業であるならば、大きな収益を期待できるかもしれません。
 
 クラウドファンディングを利用する際には、種類に応じて様々なサイトやアプリがあります。
 たとえば「購入型」では、最近テレビCMでよく目にする「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」にクラウドファンディング専用のアプリがあります。「CAMPFIRE」といえば、お笑い芸人キングコング西野さんの「煙突町のブペル」絵本展を無料で開催するために賛同者を募ったことでも有名ですね。
 
 また「OwnersBook(オーナーズブック)」は「融資型(貸付型)」で、新しいかたちの不動産投資サイトです。不動産購入の際の自己資金をクラウドファンディングで募るサービスなので、一万円という少ない資金からでも不動産のオーナーになることが可能です。賃貸収入や売却益が配当の原資となり、利益や損失は出資の持ち分に応じて受けることが特徴です。
 
 最後に、クラウドファンディングの総合比較サイトを載せておきます。
 たくさんあってどれを選べばいいのかわからないという方におススメ!それぞれのタイプ別にいろいろなサイトを検索、比較でき、大変便利ですよ。
 
『クラウドファンディングの総合比較』
URL: https://cf-hikaku.net/